【賃金は上がったが、格差も加速度的に…】

北京市政府が賃金にかかる統計を発表しました。

同市人事社会保障局と統計局の発表によると、去年2013年度 の同市全域の労働者年間平均賃金が6万9521元(約113万9400円)、月額平均賃金は前年比10.9%増の5793元だったと明らかにした。 2012年11.8%増、2011年11.2%増で、3年連続で約11%の上昇とのこと。上海の同種統計も2000年台一貫して10%強で賃金が上昇して いることがわかります。

90年台頭と比べると上海の平均賃金は10倍以上になっていて、最低賃金も7倍近く引き上げられています。ただ、 他の発展途上国にも見られる傾向で中国では特に顕著なのは、資産の増加率が賃金や経済の増加率以上に伸びていることです。つまり、資産が資産を増やす速度 が早いために、既に持っている人と持っていない人の間に天地の格差が生じています。

中国の所得格差はどうなっているのか?
梶谷懐 / 中国経済


中 国政府発表のジニ係数は0.491(2008年)をピークに徐々に下がっているようです。”ようです”と表現したのは、この統計自体は表面上の数字を元に 統計を取った場合の値であるので、実際には各種賄賂や利便など灰色の金銭は含まれていません。2013年に西南財経大学が独自調査に基づいてを発表した 0.61は大げさにしても0.5を超えているのは間違いないと思われます。したがって、上記の平均賃金についても一部の超高額所得者が平均値を押し上げて いて、実際の給与所得は月額で5,000元前半程度なのが実情ではないでしょうか。

ただ、減少傾向とはいうものの2013年で0.44前 後とメキシコ並なので依然と不公平感の強い社会であることには間違いがないでしょう。もしも、中国の不動産バブルが弾けてわずかに持っていた資産が紙くず になった場合、中国国内が騒乱状態になるのは容易に想像できますので、その防止策の一貫として国民の情報連絡手段の管理、メディア内容の監視などをしてい るのではないでしょうか。